2012年10月5日金曜日

「フォード」のソーシャルメディアマーケティングまとめ2008年~2012年

Facebookのみを使って、新車の発売を行ったことがあるフォード。
そのFacebook上での新車発表会には、イベントに関するYoutubeビデオは650万回以上の再生、さらに5万人以上の人々が詳しい情報を求め、そのうちの97%がフォードを購入したことのなかった潜在顧客だった。

自動車業界では一番巧みにソーシャルメディアを利用している企業。

今日は、そんなフォードのソーシャルな取り組みを時系列順に紹介したいと思います。



1.200811: Ford Story.com(Ford Social)





2008年に作ったFord Story.com」という自社メディア。
2008年、世界金融危機による打撃を受けた自動車業界。
いち早くソーシャルメディアや自社メディアを利用して顧客とのコミュニケーションを行い始めました。さらに、自社メディアのソーシャル化をいち早く行い、現在も顧客からのアイデアが一日に40個以上届く日もあります。


20096月~12: フィエスタ・ムーブメント   



一般公募でフィエスタの情報を拡散させ、新車のPRをするオンラインのみで行われたキャンペーン。目的は、フィエスタのコアターゲットであるジェネレーションYにリーチし、購入意欲を喚起することでした。(ジェネレーションYとは、1989年~95年生まれでIT革命を経験した年代の人たち。)
1000人をエージェントとして雇い、半年間フィエスタを試乗させる代わりに、ブログやFaceboonで情報を拡散させました。「フィエスタ・ムーブメント」公式サイトも立ちあげられ、ブロガーの人気投票も行われました。
結果は、5万人以上の人々が発売時により際しい情報を求め、その内の97%がフォードの車を持っていない人たちでした。
すごいことに、広告には費用を全く使っていないです




2009: マスタング・カスタマイザーキャンペーン



ウェブサイトまたはFacebookアプリで自分の理想のマスタングをカスタムできるコンテストキャンペーン。2009年から始まり、当初は友達と一緒にマスタングをカスタムできる仕組みでした。また、FacebookTwitterでシェアしたり、他のユーザーとバトルできる仕組みにもなっています。
さらには、自分が作ったデザインをPDFでダウンロードでき、最寄のフォードディーラーに持って行き、理想のマスタングを現実に製造する交渉もすることができる。

2012年に行われたマスタング・カスタマイザーコンテストの結果、4,100,000ドル分(約3億2千万円)のオリジナルマスタングが作られ、2012年のマスタングの売上は18%増加した。






今現在もウェブサイトでキャンペーンが行われているので、ぜひお金のある人は自分だけのマスタングを作ってみてはいかがでしょうか?笑




20107: エクスプローラー2011モデルキャンペーン





世界初オンラインのみでの新車ローンチキャンペーンオートショーではなく、オンラインだけで行うのは米国自動車業界初。AOL、ヤフー、CNNなどのバナー広告を購入、導線作りも行い、複数のメディアをミックスさせてキャンペーンを行った。また、「いいね数が3万を超えたら、新車一台をプレゼント」という公約もかかげ、発表4日前には、実際に公約が達成されると、各メディアがそれをニュースと取り上げ、さらにPR効果を高めました。

この事例のようにSNSで話題になったことが、メディアでも取り上げられることで、世の中ゴトになるというパターンがアメリカでは多いように感じます。



20113: Dongフォードフォーカスキャンペーン  







モデルチェンジした「フォード・フォーカス」のキャンペーンで、オレンジ色のぬいぐるみのゆるキャラ「Doug(ダグ)」をスポークスマンに据え、これまでのキャンペーンとは一味違ったオモシロおかしい企画に仕上がっている。ダグを主人公に、笑えるショートムービーを毎週YouTubeFacebookTwitterといったソーシャルメディアで配信していった。面白いだけでなく、フォーカスの新車販売にも結びついているという。

DongのFacebook Pageはこちら
癒し系です。笑



20125: FiestaBoキャンペーン  








トムハンクス主演の映画「Larry Crown」と同じシーンでビデオと写真を撮り、Youtubeや Facebookに投稿してファンのエンゲージメントを高めることと新車の認知度向上を目的としたキャンペーン。ビデオ中では、Ford Fiestaに注目するのではなく、トムハンクスのアシスタントを中心に、彼がどのような日々をトムハンクスと送っていてるのか日常の秘話も聞ける内容となっている。それが、Fientaのイメージアップにもつながっています。








ここまでいかがでしたか?
様々なメディアを利用したキャンペーンを多く展開し、ファンを多く作ってきたフォードですが、実は、ロングエンゲージメントに関した施策にはあまり手をつけていません。



フォードのソーシャルメディアマーケティングを分析してみました。

まず、ソーシャルメディアマーケティングは主にバズ・バイラル型、アドボカシー型の2種類の手法があります。下のグラフを見ていただくと分かると思いますが、バズ・バイラル型の手法は、クチコミによる短期的な話題化を目的としています。一方、アドボカシー形(Always On型)の手法は、中長期的な関係作りを目的としています。




上の図からフォードのソーシャルメディアマーケティングは、短期的なキャンペーンを行うことでのクチコミを計る施策を行っていることがわかりますね。つまり、短期的なバズ・バイラル型のキャンペーンに集中したマーケティング手法中心となっています。



しかし下の図を見ていただくとわかりますが、バズ・バイラル型のマーケティングだけでは、カバーしきれないエリア(空白地帯)があります。その空白地帯でいかにバズ・バイラル型のキャンペーンで獲得したファンのエンゲージメントを下げずに、次のキャンペーンに参加してもらうかがポイントとなります。




そこで、有効なのがアドボカシー型の手法です。
アドボカシー型の手法は、人々とのエンゲージメントを高めることで短期的な利益ではなく、中長期的な視点で「明日の顧客」を育てようと言う手法です。エンゲージメントとは、人々が企業または企業のサービス・プロダクトに対して、愛着や信頼、共感、理解などの要素から成り立っていて、購買の際に一番に思い出してもらえるようなキズナのことであす。

このようにエンゲージメント(キズナ)を高め、キャンペーンで獲得したFacebookファンである潜在顧客層を顧客にし、本当のファンにすることがフォードのソーシャルメディア
マーケティングでも必要だと思います。
そこで、下の図を見てください。



上の図は、バズ・バイラル型のキャンペーンで獲得したファンをエンゲージさせるためにアドボカシー型のマーケティング手法を組み合わせたものです。キャンペーンのみの場合は、キャンペーン予算が費用として流れ出てしまっていました。しかし、アドボカシー型のマーケティング手法と平行して行うことで、費用がエンゲージメントという資産として蓄積されていくのが分かると思います。

実際、普段のフォードFacebook投稿を見てもエンゲージしているファンは少なく、キャンペーンで獲得したファンをエンゲージさせる施策は行っていません。つまり、フォードとしてもまだまだ顧客とのエンゲージメントを高める余地があるということだし、逆に、競合他社はそこが狙い目だと考えれます。



最後まで読んで頂きありがとうございました!!

Twitter: Ryushi_to_2022
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